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EBMワークショップ『診断編』
『第5回 地域ではぐくむ医学教育』 
 
『いつもの検査をEBM的に体で実感しよう!』報告
菅野 圭一 医師 
赤城村国民健康保険北診療所長 

 去る2月26日前橋協立病院において第5回地域で育む医学教育EBMワークショップ診断編「いつもの検査をEBM的に体で実感しよう」が開催されました。

 当日は前橋赤十字病院の先生方をはじめ地域の先生方にもご参加いただき約40名によるワークショップとなりました。講師はお馴染み「エビデンスベーストよろず相談ドクター」菅野圭一先生でした。

 今回の企画のメインは参加者に群馬県人度チェックという「検査」を受けてもらい、点数によって層別化し、カットオフポイントを設定し、群馬県人であるか、非群馬県人であるかを「診断」していくという楽しいスタイルでした。以下当日のワークシートにそったまとめです。

群馬県人の定義(ゴールドスタンダード)
「群馬県で生まれ今までの人生の半分以上を群馬県で過ごしてきた人」
テスト参加者のうち群馬県人は18人、非群馬県人は19人でした。

群馬県人度テスト

1.上毛カルタをほとんど暗記している
2.運動会の組分けは赤城(赤)、榛名(青)、妙義(黄)、浅間(白)だ
3.「ベイシア」が元「いせや」だったと知っている
4.群馬県以外でベイシアやヤマダ電機を見かけるとうれしい
5.子供の頃デパートで買い物と言えば「スズラン」だった

6.上毛カルタを知っている
7.焼き饅頭が好きだ
8.家は「かかあ天下」だ
9.子供の頃向かい風で自転車がこげなかったことがある
10.群馬県の県庁所在地が言える

11.高崎の「だるま弁当」を食べたことがある
12.自分は標準語を話していると疑わない
13.糸井重里の「徳川埋蔵金」を密かに応援していた
14.中学時代は学校指定のジャージ姿で通学することが多かった
15.各市町村に日帰り温泉が最低ひとつあるのは当然だ

1〜5:3点、6〜10:2点、11〜15:1点

結果(生データ)

点数
群馬県人
それ以外
21〜30
9
1
10
11〜20
10
7
17
0〜10
0
9
9
19
18
37

生データをもとに群馬県人100、非県人100としてパーセントになおしました。

点数
群馬県人
それ以外
21〜30
47
6
53
11〜20
53
41
94
0〜10
0
53
53
100
100
200

こうすると感度、特異度、尤度比がイメージしやすくなります。

カットオフポイントを21とすると

点数
群馬県人
それ以外
21〜30
47
6
0〜20
53
94
100
100

感度47% 特異度94%
陽性尤度比7.8 陰性尤度比0.56

カットオフポイントを11とすると

点数
群馬県人
それ以外
11〜30
100
47
0〜10
0
53
100
100

感度100% 特異度53%
陽性尤度比2.1 陰性尤度比0

カットオフポイントを15としたところ

点数
群馬県人
それ以外
15〜30
95
18
0〜15
5
82
100
100

感度95% 特異度82%
陽性尤度比5.3 陰性尤度比0.06

このようにカットオフポイントを変えることで感度、特異度、尤度比が変化することが実感できます。

次にこのテストを群馬県内と群馬県外で行うことを想定しました。

つまり集団の群馬県人の頻度(検査前確率)を変えてみたわけです。
群馬県では1,000人中900人90%が群馬県人であると想定しました。
群馬県人度テストをこの集団に当てはめると

点数
群馬県人
それ以外
21〜30
423
6
429
11〜20
477
41
518
0〜10
0
53
53
900
100
1,000

検査後確率

群馬県人の確率は
21以上だと423÷429=99%、21未満だと477÷518=83%
11以上だと900÷947=95%、11未満だと0÷53=0%

正しく判定された人(診断適中率)は
カットオフ21だと517人(52%)
カットオフ11だと953人(95%)

群馬県では1,000人中100人10%が群馬県人であると想定しました。

点数
群馬県人
それ以外
21〜30
47
54
101
11〜20
53
369
422
0〜10
0
477
477
100
900
1,000

検査後確率

群馬県人の確率は
21以上だと47÷101=47%、21未満だと53÷899=6%
11以上だと100÷523=19%、11未満だと0÷477=0%

正しく判定された人(診断適中率)は
カットオフ21だと893人(89%)
カットオフ11だと577人(58%)

このように群馬県人の頻度(検査前確率)が変わることでテストに基づく群馬県人の可能性(検査後確率)や正しく判定できる可能性(診断適中率)が変化し、カットオフポイントも変える必要があることが実感できました。

 菅野先生は感度、特異度、尤度比などといったEBM用語を使わずにプレゼンテーションされました。やはり群馬県人度というアイデアが秀逸!

「感度と特異度、尤度比がカットオフ値によって変化」

「事後確率や診断的中率が頻度(事前確率)によって大きく変化」

などと書くとわけがわからなくなることが多いのですが、それを多くの参加者に実感させたところが素晴らしかったです。コメディカルも含めて参加者の満足度は非常に高く、とにかく楽しくて、「もう少し勉強してみようかな」と思わせるワークショップとなりました。

 ちなみに菅野先生は今回のパイロットスタディ?をもとにより優れた群馬県人度テストを作られると意気込んでおられました。             

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